日本臨床外科学会雑誌
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超音波検査およびCT検査で術前診断した遺残虫垂炎の1例
山本 有祐谷 直樹菅沼 泰山口 正秀岡野 晋治野口 明則
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2006 年 67 巻 10 号 p. 2414-2418

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抄録

症例は60歳,男性,約40年前に虫垂切除術を受けた既往がある.右下腹部痛を主訴に当院を受診した.右下腹部には手術瘢痕を認め,同部位に圧痛, Blumberg徴候,筋性防御を認めた.白血球数16,500/μL, CRP7.1mg/dLで虫垂切除の既往があるにもかかわらず腹部エコーとCT像において糞石およびそれに連続する索状物が認められ,遺残虫垂炎と診断し初日は抗生剤を投与して経過観察した.しかし翌日にさらに炎症所見の増悪を認めたため,緊急開腹手術を施行した.約25mmの腫大した遺残虫垂炎で虫垂切除を施行した.病理組織学的に急性壊疽性虫垂炎であった.
右下腹部痛を主訴とする患者を診察する場合,以前に虫垂切除を受けた既往があれば急性虫垂炎は除外してしまいがちであるが,遺残虫垂炎の可能性を念頭におく必要がある.また通常の虫垂切除術においては虫垂根部まで十分に露出して切離することが重要である.

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