日本臨床外科学会雑誌
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転移性肺腫瘍手術例の検討
近藤 竜一兵庫谷 章齋藤 学濱中 一敏砥石 政幸橋都 正洋牛山 俊樹椎名 隆之牧内 明子藏井 誠吉田 和夫天野 純
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2006 年 67 巻 11 号 p. 2533-2538

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抄録

目的:最近10年間に当院で手術を施行した転移性肺腫瘍症例について検討した.方法: 1995年1月から2004年12月までに当院で手術を行った転移性肺腫瘍179例を対象とし,原発病巣別の特徴,予後不良因子について検討した.結果: Disease free intervalは悪性黒色腫,甲状腺癌,腎癌で長く,骨・軟部腫瘍,精巣腫瘍では短い傾向にあった.肺転移巣は片肺140例,両肺39例で,精巣腫瘍,甲状腺癌,軟部腫瘍では両肺転移症例が多かった.肺切除回数は骨・軟部腫瘍では複数回の肺切除症例が多かった.全体の5年生存率は肺切除後から47%であった.全体の解析では,転移巣10個以上,腫瘍径3cm以上,他臓器転移合併,非完全切除,術後補助療法を必要としたものが予後不良因子となり,骨腫瘍では,女性, DFI 12カ月未満,上・中葉の転移巣,他臓器転移合併が予後不良因子となった.軟部腫瘍では腫瘍径3cm以上が予後不良因子となった.結語:転移性肺腫瘍切除例は原発病巣により臨床的特徴があり,予後因子も原発病巣により異なることが判明した.

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