日本臨床外科学会雑誌
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鼠径ヘルニア術後創感染の検討と対策
田畑 智丈長谷川 洋坂本 英至小松 俊一郎広松 孝河合 清貴夏目 誠治青葉 太郎土屋 智敬松本 直基
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2006 年 67 巻 11 号 p. 2544-2548

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抄録
鼠径ヘルニア術後の創感染例に関しての検討を行った.当院では鼠径ヘルニアに対し局所麻酔でのMesh Plug法(以下MP) を第一選択の術式としており現在までに1,310例に施行した.この1,310例を対象とし検討を行ったところ, 6例 (0.46%) に術後感染を認め, 2例でprosthesis除去を要した.感染の頻度は両側同時手術例で有意に多かった (P<0.001). prosthesis除去を要した2例はいずれも遅発感染例で, prosthesis除去にいたるまでに非常に長期間の保存的治療が行われていた.一方prosthesis除去を要しなかった4例は比較的術後早期に感染を発症しており,感染発症から創の改善が認められるまでの期間は30日以内であった.以上より保存的治療にて30日以内に改善傾向のない例や遅発感染例ではprosthesis除去を要すると考えられた.また両側同時手術例では感染予防が重要な問題であると考えられた.
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