日本臨床外科学会雑誌
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術前診断が困難であったslow growingな浸潤性乳腺篩状癌の1例
松井 芳文浦島 哲郎太田 拓実谷口 徹志
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キーワード: 浸潤性篩状癌
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2006 年 67 巻 11 号 p. 2554-2557

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抄録

浸潤性篩状癌は, 1983年Pageらが最初に報告した稀な乳癌で予後は良好とされている.今回われわれはslow growingでかつ術前診断に難渋した浸潤性篩状癌の1例を経験したので報告する.症例は48歳,女性.平成10年頃より右乳房に3センチ大の腫瘤に気づくも放置.平成15年6月下旬,急激に増大したため当院受診し,右乳房C領域にDimplingを伴う5センチ大の弾性硬な腫瘤を認めた.超音波,マンモグラフィ, CT, MRIにて乳癌を疑い, Core needle biopsy (CNB)を2回施行するも確定診断には至らなかった.乳癌の疑いにて,平成15年8月,胸筋温存乳房切除術を施行.摘出標本において浸潤性篩状癌(混合型)と診断された.術後36カ月現在無再発生存中である.浸潤性篩状型乳癌はslow growingでかつ予後が良好であり,またCNB術前診断に難渋する可能性がある乳癌と考えられた.

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