日本臨床外科学会雑誌
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肋間より胃管脱出を認めるも気胸を発症しなかった鋭的外傷性横隔膜ヘルニアの1例
和田 幸之入江 秀明弘中 克治
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2006 年 67 巻 11 号 p. 2595-2598

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抄録

今回われわれは,発症経過が非常に稀な鋭的外傷性横隔膜ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は68歳,女性.草刈器による左胸腹部裂傷,腸管脱出にて当院に搬送された.左側胸腹部は鋭的に受傷しており,左肋間から胃管が脱出していたにも拘わらず気胸を認めなかった.胸腹壁損傷,胃管脱出を伴う外傷性横隔膜ヘルニアの診断にて緊急手術施行した.胃管は横隔膜を貫通し経胸腔的に肋間より10cm大も脱出していたが,肺損傷,気胸とも認められなかった.術後,特に合併症認めず軽快した.肋間より胃管が脱出した開放性胸壁損傷を伴った外傷性横隔膜ヘルニアであったにも拘わらず気胸を合併していなかった,非常に稀な症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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