日本臨床外科学会雑誌
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術後59年目に絞扼性イレウスで発症した腹腔内異物肉芽腫の1例
安岡 利恵米花 正智藤木 博森田 修司満尾 学川端 健二門谷 洋一
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2006 年 67 巻 11 号 p. 2630-2634

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抄録

症例は79歳,女性. 20歳時,卵巣癒着症および虫垂切除術の手術歴あり.夕食後より下腹部痛・嘔吐が出現し受診.腹部膨満と下腹部を中心に圧痛を認めた.腹部CT所見で,右下腹部の腹腔内腫瘤が関与した絞扼性イレウスと診断し同日緊急手術を施行した.手術所見は,小腸間膜と腫瘤との癒着を基点に小腸が捻転し絞扼していた.病理組織学的に,この腫瘤はガーゼによる腹腔内異物肉芽腫であった.異物肉芽腫の診断には超音波とCT・MRIが有用だといわれるが,典型的な画像を示すものは少ないため診断に苦慮することもある.また無症状の場合もあれば,稀に敗血症,イレウス,腸穿孔を起こすことがあるため注意を要する.本例は術後59年で絞扼性イレウスとして発症しており,確認しえたところでは術後期間が本邦最長例であるので,文献的考察を加えこれを報告する.

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