2006 年 67 巻 7 号 p. 1572-1575
症例は45歳,男性. 24歳時Crohn病で回盲部切除術, 25歳時に十二指腸潰瘍で広範囲胃切除術を受けた. Crohn病として経過観察中,突然の腹痛と嘔吐を主訴に当院受診.腹部単純X線でニボーを伴う小腸の拡張,腹部CTで口側の拡張腸管内の異物を伴う小腸狭窄を右下腹部に認めた.イレウス管からの造影検査で回腸末端より30cm口側の小腸に全周性狭窄を認め,口側の腸管内に楕円形の陰影欠損像を認めた.さらに回腸末端にも狭窄を認めた. Crohn病あるいは術後癒着による小腸狭窄に異物による通過障害が加わり発症したイレウスとの診断で腹腔鏡補助下手術を施行した.小腸狭窄部の口側に異物を示唆する硬結を触知した.吻合部にも瘢痕狭窄を認めたため,腸管を2カ所部分切除した.異物は1.5cm大の梅種子で狭窄の原因はCrohn病であった.食餌性イレウスの治療として原疾患を考慮した腹腔鏡補助下手術の有用性が示唆された.