日本臨床外科学会雑誌
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後腹膜気腫をきたした宿便性直腸穿孔の1例
茶谷 成前田 佳之田原 浩布袋 裕士三好 信和
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2117-2121

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抄録
症例は47歳,女性.慢性便秘があり, 3日前より排便がなかった.めまいを主訴に当院救急外来を受診.めまいの原因は不明であった.腹部は左下腹部圧迫時に軽度の不快感を訴えるのみであったが, CT検査にて腹腔内遊離ガス,後腹膜気腫,縦隔気腫,頸部皮下気腫を認めたため,消化管穿孔を疑い,緊急手術となった.開腹時,腹腔内および後腹膜腔内に汚染を認めなかったが,直腸に穿孔部位を認めた. Hartmann手術を行い,術後は重篤な経過をたどることはなかった.病理では穿孔部に憩室や悪性所見はなく,宿便性直腸穿孔と診断された.本症例は高度の硬便であるがゆえに直腸穿孔部からの糞便の漏出がなかったため,特記すべき腹部症状を認めず,術後も重篤な経過をたどることはなかった.
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