日本臨床外科学会雑誌
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肝原発悪性リンパ腫の1例
安井 隆晴沖野 秀宣鬼塚 幸治庄野 正規渡辺 次郎武田 成彰
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2147-2151

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抄録

症例は74歳の女性で,超音波検査で肝外側区域に径3cm大の腫瘤を指摘された.術前に肝細胞癌と診断し肝外側区域切除を行った.術後の病理診断で悪性リンパ腫 (MALT type) と診断された.肝以外には病変を認めず肝原発悪性リンパ腫と診断した.本邦での肝原発悪性リンパ腫報告例44例を集計し検討したところ,男女比は1対1, 年齢は29~87歳(平均59.2歳), HBVは5例, HCVは10例で陽性,全例がNon Hodgkin Lymphoma (B細胞型, 39例; T細胞型, 3例)であった.画像診断では超音波検査でhypoechoic,単純CTでlow density, MRIでT1強調画像でlow intensity, T2強調画像でhigh intensityとして描出される症例が多かった.治療方針に関して統計学的有意差は得られなかった(切除群n=20, 21.8±20.6m, vs非切除群, n=10, 18.8±17.3m; log rank test: p=0.5024). 化学療法,術後補助化学療法,放射線療法は症例数が少なくその治療効果に関して検討不能であり適切な治療方針を決定するためにはさらなる症例の蓄積が必要である.

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