日本臨床外科学会雑誌
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Winslow孔ヘルニアの1例
松原 猛人幡谷 潔桜井 修小池 康町田 宏吉澤 康男
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2006 年 67 巻 9 号 p. 2211-2214

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抄録

症例は45歳,男性.平成15年1月下旬,腹部膨満感,上腹部痛を主訴に近医受診し,腸閉塞と診断され当院紹介入院となった.腹部CT検査にてWinslow孔ヘルニアと診断された. long tubeを挿入し,自然整復を期待したが改善せず,翌日緊急手術を行った.手術所見では,Treitz靭帯より約200cm肛門側の小腸がWinslow孔から網嚢内に50cmにわたり嵌入し絞扼されていた. long tubeを嵌入部まで誘導し,腸管内容物を吸引することにより容易に用手整復がなされた.腸管壊死はみられず腸切除は不要であった. Winslow孔は2横指と軽度開大していたが,縫縮は行わなかった.その他の異常は認められなかった. Winslow孔ヘルニアは内ヘルニアの約8%と極めて稀な疾患であり,自検例を含めた本邦報告例39例を集計し,その臨床的特徴について検討した.

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