小児の再生不良性貧血(再不貧)の診断基準は,原則的に成人のそれと同じである。しかしながら,正常小児の血液所見は年齢による変動が大きく,診断にあたりいくつかの条件を設定しなければならない。1966年から1990年にわれわれの施設を受診した小児再不貧327例を対象に,診断基準の妥当性を検討した。その結果,赤血球数350万/μl以下,白血球数4,000/μl以下あるいは好中球数1,500/μl以下,血小板数8万/μl以下,網赤血球数4万/μl以下,リンパ球比率60%以上に設定すると,本研究班の診断基準を満足した。この診断基準に合わない非定型再不貧は15例(4.6%)にみられた。13例は前再不貧状態にあり,6カ月から8年で典型的な再不貧となった。これらの症例の初診時所見は,全例骨髄巨核球数と,骨髄培養で造血幹細胞の減少を認めた。3例がANLLへ移行したが,このうちの2例はFanconi貧血であった。