臨床血液
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臨床研究
小児再生不良性貧血の診断条件
月本 一郎小原 明田口 信行宮崎 澄雄赤塚 順一小西 省三郎長尾 大中畑 龍俊赤羽 太郎
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1991 年 32 巻 11 号 p. 1439-1446

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抄録

小児の再生不良性貧血(再不貧)の診断基準は,原則的に成人のそれと同じである。しかしながら,正常小児の血液所見は年齢による変動が大きく,診断にあたりいくつかの条件を設定しなければならない。1966年から1990年にわれわれの施設を受診した小児再不貧327例を対象に,診断基準の妥当性を検討した。その結果,赤血球数350万/μl以下,白血球数4,000/μl以下あるいは好中球数1,500/μl以下,血小板数8万/μl以下,網赤血球数4万/μl以下,リンパ球比率60%以上に設定すると,本研究班の診断基準を満足した。この診断基準に合わない非定型再不貧は15例(4.6%)にみられた。13例は前再不貧状態にあり,6カ月から8年で典型的な再不貧となった。これらの症例の初診時所見は,全例骨髄巨核球数と,骨髄培養で造血幹細胞の減少を認めた。3例がANLLへ移行したが,このうちの2例はFanconi貧血であった。

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© 1991 一般社団法人 日本血液学会
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