臨床血液
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症例
血液悪性腫瘍疾患に対する化学療法中に生じたヒトパルボウイルスB19感染症
藤田 宏夫高田 功二呉本 慶子石本 浩市佐藤 尚武辻 淳子吉田 久邦金子 雅文平井 博之山口 敏和
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1993 年 34 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

Human parvovirus B19 (PVB19)感染にともないerythroid hypoplasiaおよびpancytopeniaを呈した2症例を経験した。症例1は7歳,男児。1990年12月発症のNon-Hodgkin's lymphomaである。LSA2L2 protocolにて完全寛解を得たが,その直後に発熱,顔面の紅斑および網赤血球の著減をともなう貧血が出現した。PVB19に対する特異抗体は陰性であったが,血清中にウイルスDNAが検出され,PVB19にともなうerythroid hypoplasiaと診断した。しかし,特異抗体は2カ月間陰性であった。症例2は9歳,男児。1989年6月発症のcommon ALLである。TCCSG12次案にて完全寛解を得た。維持療法中に突然汎血球減少が出現し,血清中のPVB19に対するIgM抗体が陽性となり,PVB19による一過性の骨髄不全と診断した。化学療法中の患児に原因不明の貧血および汎血球減少を認めた場合は,同ウイルス感染を疑い血清中の特異抗体およびウイルスDNAの測定が必要と思われる。

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© 1993 一般社団法人 日本血液学会
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