1993 年 34 巻 8 号 p. 912-918
骨髄移植後に残存するレシピエントのクローンや微小残存病変を検出することは移植の正否判定だけでなく,予後の推定や治療計画の決定にも重要となる。今回,10例の異性間骨髄移植例で移植後の微小残存クローンの同定を,間期核を対象とした蛍光in situ hybridization (FISH)法で検討した。FISH法は0.1%のオーダーで微小残存クローンを検出することが可能で,高感度,迅速,簡便でありかつ定量性,再現性を有した。異性間骨髄移植後の生着確認,微小残存クローンの検出,移植片対宿主病の判定,再発の予知に有用な手法であることが示唆された。以上より一般臨床検査として広く普及可能な検査法になりうると考えられた。