臨床血液
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シンポジウム1
急性白血病の細分類と治療戦略
9-シスレチノイン酸のin vitro分化誘導作用
木崎 昌弘中島 秀明池田 康夫
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1994 年 35 巻 3 号 p. 256-260

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抄録
新しい核内レセプター,レチノイドXレセプター(RXR)に対するリガンドである9-シスレチノイン酸(cRA)の白血病細胞に対する影響をオールトランス型レチノイン酸(tRA)と比較検討した。極めて低濃度(10-15-10-13M)のレチノイン酸はHL-60細胞をクローン性に増殖したが,10-9-10-6Mの濃度では増殖は抑制され顆粒球系細胞への分化が促進された。これらの作用はcRAがtRAよりも強力であった。28例の患者白血病細胞を用いた検討ではcRAは特にM3, M2症例に対してtRAよりも強力に増殖を抑制し分化を誘導した。さらにレチノイン酸抵抗性HL-60細胞に対してcRA, tRAともに単独では分化を誘導しなかったが両者を併用することで顆粒球系細胞への分化が促進された。cRAは一般にtRAよりも優れた分化誘導能を有し,レチノイン酸耐性症例や他の骨髄性白血病に対しても応用可能と思われる。
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© 1994 一般社団法人 日本血液学会
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