1994 年 35 巻 7 号 p. 694-698
症例は3歳女児で,平成4年4月より出血斑が出現,同5月26日,当科精査加療目的の入院となった。入院時,血色素8.6 g/dl, 白血球2,500/μl, 血小板2.7×104/μlの汎血球減少を認めた。骨髄は低形成であったが,3系統の血球に異形成がみられ,低形成性骨髄異形成症候群と診断した。治療には2クールのパルス療法と経口プレドニン投与を行ったが,反応は不良で,輸血に頼らざるをえなかった。そこで,平成5年1月,セファランチン連日20 mg経口投与と,週2回の遺伝子組み換えヒト・エリスロポエチン(rhEPO) 3,000U静注を開始したところ,投与3カ月ころより奏効しはじめ,血色素は4.1 g/dlより11.9 g/dlへ,血小板は4,000/μlより3.9万/μlへと改善した。rhEPOは平成5年9月,漸減,中止とし,現在はセファランチンと少量プレドニン投与により,血色素は11 g/dl台,血小板数は3万台で安定している。