抄録
濾胞性リンパ腫(以下FL)自験例に対して,retrospectiveに予後因子解析を含めた臨床的検討を行った。当科入院悪性リンパ腫231例中FLは21例(9.1%), 全21例の1年,3年,5年生存率はそれぞれ90.2%, 78.2%, 52.1%, 生存期間の中央値は43カ月。初回治療によるCR率は9/21 (42.7%)。単変量解析による予後因子は病期(IV), ヘモグロビン(10 g/dl以下),骨髄浸潤(有),節外病変数(2以上),全経過中のCR到達(無)(括弧内が予後不良)。多変量解析ではCR到達が最も独立性が高かった。解析可能20例のtime to treatment failure (TTF)の中央値は30カ月。治療不応期から死亡までの期間は40—320日(中央値171日)。TTFに関与する因子はHb, 骨髄浸潤,CR到達(単変量解析)。多変量解析ではCR到達の有無が最も独立性が高かった。今後多数例の集積ならびに予後因子解析に基づいた治療方針について検討を要する。