臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
Cyclophosphamideとウサギ抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリンの前処置にて緊急に骨髄移植を施行した肺炎合併の重症再生不良性貧血
岡本 隆弘丸茂 幹雄佐伯 要岡田 昌也川口 巧太郎高塚 広行藤盛 好啓武元 良整神前 昌敏金丸 昭久垣下 榮三
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 37 巻 1 号 p. 72-76

詳細
抄録
重症肺炎を合併した重症再生不良性貧血(SAA)に対し,顆粒球輸血を行いながら緊急の骨髄移植を施行し,救命しえた一症例を経験した。患者は16歳の女性で,著しい汎血球減少症で発症し,SAAと診断時に重症肺炎を合併した。患者,家族のHLA検査により,弟とHLAが一致していることが分かり,cyclophosphamide (CY)とウサギ抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)の前処置で緊急に骨髄移植を行った。顆粒球輸血を移植前後に施行して重症肺炎の悪化を阻止し,移植後の造血能の回復により肺炎は治癒した。急性および慢性GVHD症状は認められず,血液学的に正常化した。ウサギATGは移植片の拒絶を防止し,前処置として放射線照射に変えて使用できると考えられた。
著者関連情報
© 1996 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top