臨床血液
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臨床研究
血液型の変異を認めた血液疾患症例におけるABO血液型の遺伝子解析
岩崎 誠小林 賢鈴木 洋司
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1996 年 37 巻 2 号 p. 116-122

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抄録

血液型の変異を認めた血液疾患3症例に対して,ABO血液型の遺伝子解析を実施した。症例1の診断はAMLで,血清学的検査によるABO式血液型はA3B型に相当し,症例2はRAEB in TでA3型に相当,症例3はAMLでAint型に相当した。A型糖転移酵素遺伝子の塩基261, 796番目をPCR-RFLP法によって検索し,遺伝子型を決定した。症例1, 2, 3はおのおのAB, AO, AAであった。亜型の可能性について以下の通り検討した。A亜型に認められやすい共通の塩基置換部位(塩基467番目)と,A3 alleleに認められる塩基置換部位(塩基871番目),ならびにAint alleleに認められる塩基置換部位(塩基526, 703番目)を同様にPCR-RFLP法を用いて検索した。その結果3症例すべてA1型に一致し,亜型に特異的な塩基置換は見出されなかった。ABO血液型の遺伝子解析は,亜型と型変異を診断するのに有用と思われる。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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