臨床血液
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症例
小児急性前骨髄球性白血病におけるall-trans retinoic acid少量投与
畑 衛中山 豊明服部 拓哉岡野 周子伊藤 尹敦阿部 敏明鎌倉 正英飯沼 久恵冲永 功太安田 和人
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1996 年 37 巻 2 号 p. 129-133

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抄録

ATRA単独投与にて寛解を得た10歳男児のAPLを経験した。9 mg/m2 (10 mg/body)/doseのATRAを1日3回内服投与したところ,投与開始直後よりDIC所見が改善し,39日目には寛解を得た。ATRAを47日間投与を行った後,TCCSG high risk regimenに従った化学療法を行い治療を終了した。ATRA投与中の血中濃度は投与後90分値で84.6 ng/mlであった。また,ATRA投与中の骨髄血と末梢血の好中球における,phorbol myristate acetateおよびopsonized-zymosan刺激による活性酸素産生能を化学発光法で測定し,食作用を指標とした好中球機能を測定したところ正常コントロールに対し著明な低下を認めた。また,全ての治療を終了した時点で同様の測定を実施したところコントロールとの差が認められなかった。以上の結果より,ATRAは少量3回投与であっても寛解を得ることが可能であり,またATRAにより分化誘導された好中球は食作用の点で機能が低下している可能性が示唆された。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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