臨床血液
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シンポジウム1
難治性白血病の治療—現況と将来の展望
難治性白血病と薬剤耐性
竹下 明裕大野 竜三
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1996 年 37 巻 8 号 p. 640-646

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抄録

細胞上の少量のP糖蛋白の発現をbiotinylated MRK16 (b-MRK16)とStreptavidin-RED670 (SA-RED 670)を使用しflow cytometryにより測定した。顆粒球前駆細胞と急性骨髄性白血病細胞においてFITC-抗CD33抗体,PE-抗CD34抗体を使用した多重染色を用いphenotype別のP糖蛋白の発現を検討した。正常骨髄細胞におけるP糖蛋白陽性率はCD34+CD33-, CD34+CD33+, CD34-CD33+表現型ではそれぞれ12.2±2.2% (mean±SD), 6.3±3.1% 1.4±0.9%でこれらはAML細胞において増加していた。正常骨髄細胞とAML細胞ともにCD34-CD33+表現型ではP糖蛋白の発現量は少なく,CD34+CD33-表現型ではP糖蛋白の発現量が多かった。急性前骨髄球性白血病細胞ではCD34+CD33-はほとんど検出されず,P糖蛋白の発現量は少量であった。白血病細胞の薬剤耐性を考慮する場合その表現型の重要性が示唆された。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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