1997 年 38 巻 12 号 p. 1254-1262
東京医科大学第三内科の多発性骨髄腫の初回治療例41症例(形質細胞性白血病2例を含む)について,予後因子の解析をretrospectiveに行った。単変量解析で生存率に対して有意であった14の予後因子(P<0.05)のうちで,3つの因子(BUN, Bence Jones蛋白の有無,染色体異常の有無)が多変量解析で独立した予後因子であった(P<0.05)。それらの3つの予後因子を用いて3群のリスクグループを設定した。lowリスクグループ(20例)は初診日より60カ月以内の死亡例はなく,生存期間の中央値は観察期間中に到達しなかった。intermediateリスクグループ(14例)の生存期間の中央値は49.2カ月であった。highリスクグループ(7例)は初診日より24カ月以内の早期死亡例が多く,生存期間の中央値は31.6カ月であった。(P<0.0001) Durie & Salmonの病期分類を用いてわれわれの症例の生存率を解析した結果,3つの病期の間に有意差を認めた(P=0.0222)。今回の検討で設定した3群のリスクグループによる予後因子モデルは,すでに多発性骨髄腫の予後因子モデルとして広く用いられているDurie & Salmonの病期分類と比較し,より良く多発性骨髄腫の予後を反映していると考えられた。