臨床血液
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症例
保存的治療のみで軽快後,遅発性再燃を認めた重症型VOD
松岡 佐保子岡本 真一郎石田 明涌井 昌俊渡部 玲子森木 隆典池田 康夫平林 紀男
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1998 年 39 巻 2 号 p. 139-145

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抄録

症例は40歳男性。慢性期慢性骨髄性白血病に対しHLA一致の兄より同種骨髄移植を施行。前処置はbusulfanとcyclophosphamide, GVHD予防はmethotrexateとcyclosporine A (CYA)にて行った。移植後Day30に総ビリルビン値(TB)の上昇,体重増加,腹水,肝腫大を認め,肝静脈閉塞症(VOD)と診断した。保存的治療のみにて,TBはDay66の20.1 mg/dlを最高値にDay129には2.1 mg/dlまで低下し,腹水,肝腫大も消失した。Day134頃より再びTBが上昇,同時に慢性GVHDによる眼,口腔粘膜,皮膚病変を認めたため,慢性GVHDによる肝障害と考えDay142よりCYA, 続いてFK506を投与した。皮膚,口腔病変は改善したが,黄疸の改善は認められず,患者はDay186にARDSによる呼吸不全にて死亡した。剖検では肝に新旧のVODの病変が認められたことから免疫抑制剤不応の晩期肝障害は遅発性VODによるものと考えられた。

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© 1998 一般社団法人 日本血液学会
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