抄録
症例は94歳,男性。痴呆で入院中,不穏症状が強く某院精神科を受診し,ハロペリドール5 mgほかを投与された。翌日から意識障害,急性呼吸不全,高熱と7.7×104/μlの血小板減少を認めた。薬剤の中止,抗生物質の投与,輸液,呼吸循環管理を施行したが,投与開始後4日目から横紋筋融解による急性腎不全,DIC(準備状態)を認めた。以上より,ハロペリドールが原因と思われる悪性症候群にDICを併発したものと考え,ヘパリン,アンチトロンビンIII製剤を投与した。速やかな凝血学的改善と悪性症候群の改善を認めた。経過中の血中組織因子濃度とTNF-α値は持続的に上昇していた。ほかのサイトカイン(IL-1β, IL-2, IL-6)値は上昇を認めなかった。悪性症候群の急性腎不全,横紋筋融解では持続する外因系凝固の活性化とTNF-α値の上昇が認められた。これらがDICの発症,病態に関与していることが示唆された。