臨床血液
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症例
骨髄線維症を伴う高齢者骨髄異形成症候群に対する同種末梢血幹細胞移植
沢田 仁和気 敦山崎 嘉宏和泉 洋一郎
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ジャーナル 認証あり

1999 年 40 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

同種骨髄移植に代わって近年,造血能回復が早く重症graft-versus-host-disease (GVHD)の増加がない同種末梢血幹細胞移植が行われている。われわれは,骨髄線維症を伴った骨髄異形成症候群(MDS)の61歳の患者にHLA一致の68歳の兄より同種末梢血幹細胞移植を施行した。移植前処置はbusulfanとcyclophosphamideで行い,GVHD予防はcyclosporin Aとmethotrexateを用いた。ドナーはgranulocyte colony-stimulating factor (G-CSF) 10 μg/kg/day, 4日間の皮下注を受けた。患者体重あたり4.04×106/kgのCD34陽性細胞が1回のアフェレーシスで採取でき,直ちに輸注された。生着は好中球500/μl以上,血小板2.0×104l以上がともにday 15であった。grade IIの急性GVHDを発症したがmethylprednisoloneの投与で軽快した。患者はday 97にthrombotic microangiopathyで死亡した。ドナーのG-CSF投与とアフェレーシスは問題なく施行できた。同種末梢血幹細胞移植は早期生着をもたらし高齢のMDS患者にとっては利点となるかもしれない。

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© 1999 一般社団法人 日本血液学会
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