臨床血液
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臨床研究
多発性骨髄腫化学療法施行時における好中球減少症に対する遺伝子組換え型ヒト顆粒球コロニー刺激因子の臨床検討
戸川 敦溝口 秀昭外山 圭助浦部 晶夫大橋 靖雄高久 史麿
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2000 年 41 巻 2 号 p. 115-122

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抄録

多発性骨髄腫の化学療法施行時における好中球減少症,および化学療法のdose intensityと腫瘍効果に対する遺伝子組換え型ヒト顆粒球刺激因子(rhG-CSF: KW-2228)の有効性と安全性について非盲検無作為割付群間比較試験により検討した。KW-2228非投与群(対照群)およびKW-2228投与群(投与群)共に化学療法は原則として4週間隔で3コース施行された。適格例98例のうち好中球解析対象例において,各コースで投与群に著明な好中球数減少期間の短縮が認められた。また,感染症解析対象例における感染症の発現率,発現期間に有意な差は認められなかったが,発熱性好中球減少症は対照群のみに発現した。腫瘍効果評価可能例における奏効率およびdose intensityに関して両群間に有意差は認められなかった。但し,好中球減少症の遷延により試験を中止した症例は対照群のみにみられた。以上から,KW-2228は多発性骨髄腫化学療法施行時の好中球減少症に対し,著明な好中球数回復効果を示し,有効かつ安全性の高い薬剤であると考えられ,また化学療法を完遂するうえでも有用であることが示された。

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© 2000 一般社団法人 日本血液学会
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