臨床血液
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臨床研究
GVL効果の強化を目的とした同種骨髄移植におけるcyclosporineの早期減量,中止の妥当性の検討
藤巻 克通藤沢 信青墳 信之斉藤 憲治金森 平和松崎 道男高橋 聡岡本 真一郎坂巻 壽丸田 壱郎
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2001 年 42 巻 9 号 p. 680-684

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抄録

再発のリスクが高いと考えられる白血病および骨髄異形成症候群でのHLA一致同胞間骨髄移植例を対象に移植片対白血病効果を高めるためcyclosporine (CSP)を早期減量,中止することが可能かどうかを検討した。1996年10月より2000年1月までの間にprospectiveに20症例を登録した。移植後40日で急性移植片対宿主病がI度までで既に終息しており,原病の再発がなく感染症などの合併症も併発していない場合,CSPを急速に減量し50日で中止した。CSPを早期中止できたのは10例で,急性移植片対宿主病の再燃を3例で認めた。慢性移植片対宿主病は8例に発症した。原病再発で3例,特発性間質性肺炎で1例が死亡した。2年生存率は60%であった。少数例での検討ではあるが急性移植片対宿主病の軽度な症例ではCSPの早期中止は可能であり,再発のリスクが高い症例では試みる価値がある方法と考えられた。

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© 2001 一般社団法人 日本血液学会
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