抄録
患者は50歳,女性。平成7年8月,血小板減少および溶血性貧血にてEvans症候群と診断。ステロイドパルス療法にて血小板数の回復を認めるも,ステロイド漸減中2回再燃し,ステロイド増量,漸減を反復。平成10年1月に再燃し,脾摘を施行した。その後のステロイドパルス療法後漸減療法にて良好な経過が得られた。ステロイド維持療法中の平成11年2月より,発熱・下痢・腹痛・嘔吐・体重減少をきたした。低補体血症,免疫複合体陽性,胸腹水,水腎症,膀胱壁肥厚を認め,膀胱鏡検査では間質性膀胱炎の所見から,ループス膀胱炎の合併と診断。膀胱組織生検では,間質の浮腫と血管の周囲に軽度の炎症細胞浸潤を認めた。ステロイドパルス療法後漸減療法を施行,補体の改善とともに臨床症状も改善。Evans症候群の経過中にループス膀胱炎が発症した例は稀なため報告する。