臨床血液
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症例
VAD療法・MP療法が奏功した非分泌型原発性形質細胞性白血病
進藤 岳郎湯本 義一吉田 道明奥田 哲也
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ジャーナル 認証あり

2002 年 43 巻 2 号 p. 107-111

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抄録
症例は78歳の女性で,2000年8月に腰痛と食思低下のため当科を受診した。血液検査にて貧血・高カルシウム血症・腎機能障害を認めたほか,末梢血中に形質細胞の出現を認めた。骨髄中有核細胞の49.6%を形質細胞が占め,これらはCD38陽性でCD19·CD56陰性であった。M成分は血中・尿中ともに検出されなかったが,骨髄クロット標本を用いた酵素抗体染色法にて形質細胞の細胞質中にIgGが陽性,κ鎖が弱陽性であった。よって非分泌型原発性形質細胞性白血病(IgG-κ型)と診断しVAD療法を施行したところ著効し,寛解が得られた。その後MP療法を継続中だが,初診より15カ月後の現在まで再発は認めていない。非分泌型の原発性形質細胞性白血病の報告はまれであり,本症例は形質細胞と骨髄ストローマ細胞との間の接着分子としてのCD56の生理的意義や,本疾患に対する多剤併用化学療法の有効性につき示唆に富む。よってここに報告するとともに,以上につき文献的に考察した。
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© 2002 一般社団法人 日本血液学会
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