2003 年 44 巻 11 号 p. 1090-1094
症例は急性骨髄性白血病(AML, M2)の36歳男性で,2回の寛解導入療法(IDR+araC, araC大量療法)にても非寛解であった。2回目の寛解導入療法後,meningeal leukemiaを発症したが,薬剤の髄腔内投与(araC, MTX, PSL)により白血病細胞は消失した。再発予防のため週2回の髄腔内投与を継続しつつ,3回目の寛解導入療法(araC大量療法)を実施した。3回目の治療開始後37日目(MTX髄注総量135mg)に異常行動,見当識障害が出現し,39日目には昏睡となった。CTでは白質全体に低吸収域と脳浮腫が認められ,白質脳症と診断し,Glyceol, mPSL投与を行った。以後徐々に意識レベルは改善し,53日目には脳浮腫も消失した。90日目に自力歩行が可能となり,現在は血液所見も寛解で正常に生活している。