臨床血液
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症例
急性リンパ性白血病の完全寛解後,同一クローンから発症したと考えられる急性骨髄性白血病
松田 功中牧 剛天谷 洋清崎 雅宣川上 恵一郎山田 一成横山 明弘日野 研一郎友安 茂
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2003 年 44 巻 9 号 p. 946-951

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抄録

症例は22歳,女性。1995年2月,ペルオキシダーゼ陰性,CD10, CD19, TdT陽性,IgHとTCRβ遺伝子の再構成の所見より急性リンパ性白血病と診断した。AdVP (doxorubicin, vincristine, prednisolone)療法で完全寛解に到達した。骨髄移植はHLA適合ドナーがいないため断念し,強化療法を繰り返し施行した。1998年6月,アウエル小体を認め,ペルオキシダーゼ陽性,CD13, CD33, HLA-DR陽性の病的細胞が出現し,急性骨髄性白血病へのlineage switchと診断した。A-DMP (cytosine arabinoside, daunorubicin, 6-mercaptopurine)療法は無効であったが,AdVP療法により再び完全寛解に到達した。1999年2月,anthracycline系薬剤による心筋障害で死亡した。IgH遺伝子可変領域を用いたclonalityの検査法から,急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病と診断した時にみられた病的細胞は同一クローン由来であると考えられた。

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© 2003 一般社団法人 日本血液学会
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