臨床血液
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症例
皮膚浸潤,巨大脾腫,高γ-グロブリン血症で発症したNSE陽性lymphoblastic lymphomaの男児例
高橋 和也合井 久美子佐藤 広樹根本 篤宇野 佳奈子犬飼 岳史杉田 完爾中澤 眞平
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2004 年 45 巻 12 号 p. 1247-1251

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抄録

広範な皮膚症状,巨大脾腫,高γ-グロブリン血症を伴う多彩な症状で発症したNSE陽性リンパ芽球性リンパ腫の6歳男児例を報告する。1999年6月から頸部リンパ節腫脹,9月には不定型紅斑と肝脾腫を伴う発熱が出現した。骨髄にリンパ芽球様細胞が少数認められたが,頸部リンパ節生検で悪性所見が認められず,症状も軽快したため,経過を観察した。11月から再び発熱と紅斑が出現したため,プレドニゾロンの投与を開始したところすみやかに解熱した。しかし,皮疹が増悪し,全身表在リンパ節も増大したため,2000年1月に右鼠径部リンパ節の生検を施行した。病理診断はリンパ芽球性リンパ腫で,免疫組織染色ではCD3, CD5, NSEが陽性で,TCR-C β 1遺伝子の再構成を認めずTCR-J δ遺伝子再構成を認めた。多剤併用化学療法後に自家末梢血幹細胞移植を施行し,4年後の現在寛解を維持している。

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© 2004 一般社団法人 日本血液学会
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