抄録
症例は60歳男性。2007年5月より徐々に増強する動悸,息切れを自覚。近医で極度の貧血を指摘され当科紹介入院。室温採血で自然凝集するため37°C加温後測定でHb 5.0 g/dl, RBC 109×104/μl, Plt 16.2×104/μlであった。網赤血球著増,間接ビリルビン,LDHの上昇,ハプトグロビン,補体の低下を認めた。直接抗グロブリン試験ではIgG, C3bd, C3dすべて強陽性。寒冷凝集素は32倍と低力価であったが30°Cでも4倍の活性を認めた。不規則抗体検査ではパネル血球と一様に反応し特異性を認めず。寒冷凝集素吸収後あるいは2ME処理後のIgG Coombs法では反応は一様に減弱したが消失せず。患者血球の解離液を用いてのIgG Coombs法は強陽性を示した。また,基礎疾患の検索をしたが血液,画像検査に特に異常所見を認めなかった。以上より温式IgGと低力価寒冷凝集素を同時に持った特発性混合型自己免疫性溶血性貧血と診断した。プレドニゾロンによる治療を開始したところHbはゆっくり上昇していった。また,診断後よりPltが徐々に減少し始めEvans症候群の病態も呈した。比較的稀な症例と考え報告する。