2009 年 50 巻 1 号 p. 16-22
我々は患者,輸血製剤の双方に抗白血球抗体が陽性であったTransufusion-related acute lung injury (TRALI)を経験したのでここに報告する。症例は41歳女性。急性骨髄性白血病(M2)の寛解導入療法開始後15日目,赤血球MAP製剤(RC-M·A·P)にてTRALIを発症した。気管内挿管を施行し,陽圧呼吸管理を開始,ステロイドパルス療法による治療を行ったが,輸血3日後に死亡した。患者血清中に抗HLA class I抗体と抗HLA class II抗体が検出された。さらに,新しく開発された特異度の高い蛍光抗体法により,ドナー血清中に抗好中球抗体が証明された。これらの抗白血球抗体により,免疫学的機序にてTRALIが発症した可能性が示唆された。