2009 年 50 巻 1 号 p. 29-33
68歳,女性が貧血,胸水貯留,骨痛,を主訴として来院した。血清IgA, λ型の単クローン性の増加を認めた。骨髄像では未熟な大型の形質細胞の著明な増加を認め,CD38 gatingによるflow cytometryでは分化度は中間型であった。染色体検査では,数の異常,t(8;22)(q24;q11.2)を含む複雑な異常を認め,FISHではc-MYCの3'下流に切断を認めた。Variant typeの相互転座を伴う多発性骨髄腫と診断した。骨髄は低形成のため,dexamethasoneの静注とthalidomide経口の併用療法を行い,血液学的寛解に導入した。