臨床血液
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症例報告
腎障害を有する日本人多発性骨髄腫患者のサリドマイド血中濃度の解析
新井 文子廣田 理子福田 哲也東田 修二森 吉寛寺田 典生佐々木 成三浦 修
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2009 年 50 巻 4 号 p. 295-299

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抄録

サリドマイドは多発性骨髄腫(MM)に対し有効であるが腎障害合併時の邦人での血中濃度動態の解析はなされていない。私達は再発難治性MM患者5名(維持透析患者1名,保存期腎不全患者3名,正常腎機能患者1名)を100∼200 mg/dayのサリドマイドで治療し,内服後12時間,16時間に採血を行い,血中濃度を測定した。維持透析患者では透析日の12時間後,16時間後はそれぞれ透析前後に相当した。腎機能低下による血中濃度の上昇や蓄積性は明らかではなかった。透析前後での血中濃度低下は非透析日の同時間より大きい傾向にあり,透析により除去される可能性が示唆されたが,内服12時間後の血中濃度は透析の有無で明らかな差は認めなかった。以上から,邦人MMの腎機能障害時でも低容量サリドマイドは腎機能正常者と同量で投与可能と思われた。投与量と血中濃度,効果,有害事象との関連について今後は多数例での解析が必要である。

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© 2009 一般社団法人 日本血液学会
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