2010 年 51 巻 12 号 p. 1781-1785
症例は70歳男性。平成4年に胃悪性リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma)に対し,胃全摘術を施行されていた。平成20年1月に頚部リンパ節腫大を認めリンパ節生検を施行し,悪性リンパ腫の再発と診断しR-CHOP療法を施行した。1∼3コース目までは発熱はみられなかったが,4コース以降は化学療法開始約1週間後に,白血球減少を認めないにもかかわらず38°C台の発熱が繰り返し認められた。その都度施行した血液培養でHelicobacter cinaediが検出された。Helicobacter cinaediは培養に長時間を要し,形態観察や同定が難しいとされているが,最近易感染者の菌血症の原因菌としての報告が増加している。