臨床血液
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臨床研究
単クローン性γグロブリン血症における血清遊離軽鎖測定の臨床的有用性
島崎 千尋村上 博和澤村 守夫松田 正之木下 朝博畑 裕之杉浦 勇津下 圭太郎名倉 英一小杉 浩史伊藤 淳治清水 一之
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2010 年 51 巻 4 号 p. 245-252

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抄録

免疫グロブリンはH鎖とL鎖から構成されるが,これらは形質細胞内で別々に産生される。L鎖はH鎖より多く産生され,過剰に産生された遊離L鎖(FLC)は形質細胞から放出される。このFLCのみを測定するキット(FREELITE)が開発された。このキットを用いたκ-およびλ-FLCの定量法において,クローナルな形質細胞の増殖があればκ/λ比の異常として認識される。本法を用いて,M蛋白血症150例,多クローン性γ-グロブリン血症(対照)184例,健常者178例を対象にその有用性を検討した。M蛋白血症における感度は88.0%, 特異度は96.1%であった。測定感度は免疫電気泳動(IEP)より100倍以上高く,蛋白電気泳動,IEPとの組み合わせで99%の症例で診断が可能であった。FLCは半減期が短く,治療に対する反応が早くモニタリングにも有用であった。多発性骨髄腫,ALアミロイドーシスの診断,治療効果判定,モニタリングに有用と考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本血液学会
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