2011 年 52 巻 1 号 p. 28-31
急性リンパ性白血病を合併したMarfan症候群の7歳男児を報告した。2歳時にMarfan症候群と診断され,遺伝子検査でFBN1の異常を認めている。7歳時に頸部リンパ節腫脹を主訴に来院し,T細胞性急性リンパ性白血病と診断された。化学療法に対する反応は良好で,心機能を含め化学療法による重篤な副作用はなかった。診断後34ヶ月経過し寛解生存中である。Marfan症候群に合併した白血病の報告は少なく,現在までに3例のみであった。Marfan症候群ではTGF-βシグナルの亢進が報告されているが,TGF-βは腫瘍抑制因子として働くため白血病の発症が少ない可能性が推察された。