臨床血液
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症例報告
T細胞性大顆粒リンパ球性白血病に合併した骨髄不全に対する抗胸腺細胞グロブリン療法後に発症したEBウイルス関連リンパ増殖性疾患
住 昌彦渡辺 正秀佐藤 慶二郎清水 郁夫植木 俊充赤羽 大悟上野 真由美市川 直明浅野 直子小林 光
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2011 年 52 巻 11 号 p. 1782-1787

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抄録

75歳男性。2年前より間欠的な好中球減少を認め,貧血も伴うようになり紹介,高度な好中球減少,網状赤血球著減を伴う貧血,軽度の血小板減少を認めた。骨髄穿刺検査では高度な低形成であったが巨核球は保たれ,顆粒リンパ球が45.2%を占めていた。表面マーカー解析,T細胞受容体遺伝子再構成の結果からT細胞性顆粒リンパ球性白血病に合併した骨髄不全と診断した。抗胸腺細胞グロブリン,cyclosporine併用療法を開始し,16日目には血球は回復したが,29日目より発熱・リンパ節腫脹を認め,異型リンパ球が出現し,血中でEpstein-Barr virus (EBV) DNAが検出された。その後急激な肝機能障害・肝腫大が出現し多臓器不全で42日目に死亡した。剖検で肝,腎などにEBV陽性の大型異型Bリンパ球の浸潤を認めEBV関連リンパ増殖性疾患が死亡原因と考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本血液学会
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