抄録
症例は36歳男性,幼少時より軽度の出血傾向は自覚していたが,重篤な出血の既往はない。腰椎椎間板ヘルニアによる疼痛に対して腰部硬膜外ブロックを施行後,急性硬膜外血腫による対麻痺と直腸膀胱障害が出現し入院となった。拡大開窓術と血腫除去術を施行したが出血が持続したため,止血目的で再手術を行った。第VIII因子抗原量138%に対し,活性は18%と低下しており,cross-reacting material positive (CRM+)軽症血友病Aと診断した。術後より第VIII因子製剤を輸注し,完全な止血を得た。活性化トロンボプラスチン時間(aPTT)は正常であったが,トロンビン生成試験(thrombin generation test: TGT)においてendogenous thrombin potential (ETP), peak thrombin (Peak Th)は低値を示し,time to peak (ttPeak)は延長していた。TGTは凝固機能の包括的な評価が可能であり,診断と治療に有用であった。