2013 年 54 巻 3 号 p. 290-294
MLL遺伝子再構成は白血病において比較的多く認められる遺伝子異常であり,そのパートナーとなる遺伝子の特性により,生じる白血病の形質が規定されている。このうち,MLLT3-MLLは主にAMLを引き起こすが,動物モデルではサイトカインなどの外的要因によりALLや混合形質性白血病を誘導することも示されている。今回,MLLT3-MLLを有し,髄外性白血病として発症した混合形質性白血病症例を経験した。症例は44歳女性。腫瘍細胞は骨髄性(CD13およびMPO)とB細胞性(CD19およびCD79a)の形質を有していた。髄外性白血病のほとんどはAMLの形質を示し,混合形質性白血病として発症した例は本例を含め4例が報告されるにすぎない。また,本症例においてMLLT3-MLLを有するにも関わらず,混合性形質を獲得した要因として,白血病細胞が髄外環境で増殖したことが関与しているのではないかと推察された。