臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
特集:血液分野の最新情報2015 ―バイオロジーを中心に(骨髄系疾患)―
CML幹細胞のチロシンキナーゼ阻害剤耐性機序と治癒を目指した新たな治療標的
田中 宏和平瀬 主税松村 到
著者情報
ジャーナル 認証あり

2015 年 56 巻 2 号 p. 139-149

詳細
抄録
慢性骨髄性白血病(CML)の治療は,チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の開発により,劇的な改善を見せた。しかし,TKI投与により深い分子遺伝学的寛解を達成・維持している症例においても,TKI中止後多くの症例は再発する。TKI中止後の再発に関わる因子としてSokalスコアなどが挙げられているが,今後,更なる因子,条件などの同定が望まれる。TKI中止後の再発の原因として,CML幹細胞がTKIに抵抗性であることが挙げられる。この抵抗性に関わる分子として,Hh, Wnt/β-cateninなどの自己複製因子,PMLなどの細胞周期制御因子,FOXO3などの代謝制御因子,CXCR4などの接着分子などが同定されている。また,IL-1RAP, CD26などのCML幹細胞特異的な表面抗原も同定されている。今後,これらの分子を標的とした新たな治療をTKIと併用することで,CMLに治癒がもたらされることが期待される。
著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top