臨床血液
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Symposium 4
ダイアモンド・ブラックファン貧血の病態分子機構
土岐 力伊藤 悦朗
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2015 年 56 巻 7 号 p. 867-876

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抄録

ダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)は,稀な先天性骨髄不全症で赤血球造血不全に特徴づけられる。大球性貧血はDBAの特徴であるが約40%に成長遅滞や奇形をみとめる。DBAはリボソーム・タンパク(RP)遺伝子の単一片アレル不活性型変異と関連している。DBAでは,RPS7, RPS10, RPS17, RPS19, RPS24, RPS26, RPL5, RPL11, RPL26, RPL35Aの変異・大欠失がみとめられる。これらはDBAの60%で報告されてきた。残りの症例は病因変異が不明である。新規責任変異を同定するため,最初の検索で変異・欠失がない48例を全エクソーム解析した,そして孤発例にde novo RPL27スプライシング異常変異とRPS27フレームシフト欠失を認めた。In vitroにおける遺伝子抑制はrRNA前駆体のプロセッシングを障害した。rpl27, rps27変異ゼブラフィッシュ・モデルでは赤血球産生と尾部・頭部の発生障害を認めた。本稿ではリボソーム生合成障害からDBA病態への経路に関する知見も論じた。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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