臨床血液
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臨床研究
同種造血細胞移植後急性GVHDに対するステロイド治療に伴う低フィブリノゲン血症
諸鹿 柚衣高田 寛之吉田 奈津美長松 顕太郎梨本 佑子佐分利 益穂高野 久仁子池邉 太一幸野 和洋緒方 正男白尾 国昭
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2015 年 56 巻 7 号 p. 883-888

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抄録

同種造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)に対し,ステロイド投与が行われた症例の血漿fibrinogen (Fg)値の変化について後方視的検討を行った。対象は急性GVHD≥Grade IIに対し,ステロイド≥1 mg/kg/day(メチルプレドニゾロン換算)の投与を行った15症例。8例(53%)が低Fg血症(血漿Fg<150 mg/dl)を来し,投与量毎ではステロイド開始量1 mg/kg/dayの患者の6例中2例,2 mg/kg/day開始の9例中6例にて確認された。播種性血管内凝固症候群あるいは肝機能障害(有害事象共通用語基準≥grade 3)を認めたのは3例のみで,経過よりもステロイド自体が低Fg血症の原因と考えられた。GVHDに対し,特に2 mg/kg/day以上投与の場合には高頻度に低Fg血症を来し,注意深いモニタリングが必要と考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本血液学会
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