2016 年 57 巻 2 号 p. 137-146
若年性骨髄単球性白血病(JMML)は骨髄異形成症候群と骨髄増殖性疾患の血液学的特徴を併せ持つクローン性の造血幹細胞疾患である。約80から90%の症例でRAS経路に関与する4種類(NF1, RAS, PTPN11, CBL)のいずれか1の遺伝子変異が認められる。さらに最近の網羅的遺伝子解析からSETBP1遺伝子変異やDNAメチル化異常など新たな付加的遺伝子異常が明らかとなり,それら遺伝子異常が臨床像や予後に関連していることが報告されてきている。治療に関しては,同種造血幹細胞移植が根治的治療であるが,再発,拒絶など問題も多く生存率は50%前後である。現在日本および欧米で臨床試験が進行中である。最近ではJMML白血病幹細胞やinduced pluripotent stem cells (iPSCs)など新たな解析方法も加わり,JMMLの病態解明や分子標的治療の開発など期待されている。