臨床血液
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症例報告
びまん性骨硬化を示し劇症型に移行したIgH/CCND1陽性多発性骨髄腫
初瀬 真弓淵田 真一岡野 晃村頭 智島崎 千尋
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2016 年 57 巻 4 号 p. 483-488

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抄録

症例:71歳,女性。3年前に前額部の腫瘤生検にて形質細胞腫を認め,全身の骨硬化性病変を伴っていたため骨硬化型骨髄腫(BJP-λ型)と診断された。71歳時,大腸肝彎曲部に腫瘤を認め横行結腸切除術を実施し,IgH/CCND-1陽性の大腸形質細胞腫と診断された。血清VEGFは高値ではなかったが形質細胞はVEGF染色強陽性であった。その後短期間で劇症型骨髄腫に移行した。骨硬化型骨髄腫は骨髄腫の3%未満と稀な疾患でPOEMS症候群との鑑別を要する。本症例ではPOEMS症候群に必須項目である末梢神経症状を認めず,骨硬化型骨髄腫と診断した。一方IgH/CCND-1異常は骨髄腫の15%に認められるが,POEMS症候群でも25%の症例で認められる。この遺伝子異常の骨硬化病変への関与は不明であるが,今後骨硬化型骨髄腫とPOEMS症候群の症例が蓄積され,遺伝子異常と骨硬化の関連が明らかになることが期待される。

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© 2016 一般社団法人 日本血液学会
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