臨床血液
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症例報告
リンパ節においてLangerhans cell様細胞への分化を示した未分化急性白血病(急性幹細胞白血病)
福田 貴規中本 周橋本 由徳田中 孝幸徳安 祐輔丸山 純子小村 裕美日野 理彦桑本 聡史村上 一郎
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2017 年 58 巻 1 号 p. 26-31

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抄録

症例は75歳女性。末梢血芽球出現を指摘され来院した。初診時WBC 3,810/µl(芽球26%), Hb 11.7 g/dl,Plt 18.0万/µl。芽球は骨髄にも86.3%認め,これはCD34とCD7とCD33とTdT陽性,CD117が一部陽性,MPOは陰性で,染色体分析にてtrisomy 10を認めた。また,全身性リンパ節腫大を認め,頸部リンパ節生検にて骨髄と同様の白血病細胞を一部に認めた。一方で,これとは異なる広く明るい胞体とϕ10µm弱の変形核を有す細胞を密に認め,これはCD1aとS100蛋白陽性を示し,Langerhans cell様であった。同一リンパ節における蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法と免疫組織化学染色(IHC)の二重染色で,trisomy 10をTdT陽性細胞およびCD1a陽性細胞に同定した。以上より,リンパ節においてLangerhans cell様細胞への分化を示す未分化急性白血病(急性幹細胞白血病)と診断した。このような腫瘍の報告は稀であり,血液幹細胞あるいは白血病細胞の分化能と増殖の場について考える上でも興味深い症例である。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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