臨床血液
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6 (EL2-13)
再生不良性貧血治療の最前線
小原 直
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2017 年 58 巻 10 号 p. 1851-1859

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抄録

再生不良性貧血は,造血幹細胞が減少して,骨髄の低形成と汎血球減少を呈する症候群であり,T細胞を介した自己免疫疾患の可能性が有力である。近年,再生不良性貧血患者の約1/3にクローン性造血を示唆する遺伝子変異が検出されることが報告された。造血幹細胞移植以外の治療ではATG+シクロスポリンによる免疫抑制療法が基本であるが,トロンボポエチン受容体作動薬のエルトロンボパグが有効であり,一部の症例では3系統の造血の回復がみられることが明らかになった。ATGの至適投与量に関しては検討が進められている。再生不良貧血に対する造血幹細胞移植では心毒性の軽減を期待して,前処置のシクロフォスファミドを減量し,代わりにフルダラビンを併用するレジメンが行われつつある。HLA半合致移植が開発され,ドナーが見つからない症例を対象に報告が増えつつあり,従来は移植を断念していた症例に適応が広がる可能性がある。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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