2017 年 58 巻 10 号 p. 1872-1877
急性前骨髄球性白血病(APL)は,多くの場合は特異的な染色体転座であるt(15;17)(q22;q12)を持つ。その結果,PML-RARA融合遺伝子が形成され,顆粒球系細胞の分化抑制が起こることがAPL発症機序であると考えられている。APLの治療法は,1990年代初めに登場したレチノイン酸(all trans retinoic acid, ATRA)による分化誘導療法の導入により大きく治療戦略がかわり,ATRAと抗がん療法の併用により高い寛解率と長期生存が得られるようになった。2004年からは,再発APLに対して亜ヒ酸(arsenic trioxide, ATO)が臨床の場に登場した。最近では,ATRAとATOの併用により,より早くAPLクローンを感度以下に押さえ込むことができるようになってきた。最新の臨床研究のデータなどをまとめて紹介したい。