臨床血液
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症例報告
同種造血幹細胞移植前にruxolitinibで脾腫のコントロールを行った多血症線維化期から移行した急性骨髄性白血病
藤島 眞澄藤島 直仁北舘 明宏郭 永梅渡部 敦鵜生川 久美奈良 美保吉岡 智子亀岡 吉弘高橋 直人
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2017 年 58 巻 7 号 p. 743-748

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抄録

症例は64歳女性(移植時年齢)。移植の7年前に真性多血症(JAK2 V617F変異陽性)と診断,2年前に脾腫が増悪しruxolitinibを開始した。汎血球減少のためruxolitinibを中止したところ,脾臓の増大と骨髄線維化を伴う白血化を認め,多血症後線維化期から移行した急性骨髄性白血病と診断した。寛解導入療法により完全寛解が得られたが,脾臓は季肋下8横指触知する状態であった。地固め療法2コース後にruxolitinibを再投与し,脾臓が縮小した時点で非血縁ドナーから末梢血幹細胞移植を行った。Ruxolitinibは移植前日まで継続した。Day 13に好中球生着が得られた後,withdrawal symptomと考えられる脾臓の再増大がみられたが一時的であった。脾腫は同種造血幹細胞移植における生着不全・移植関連死のリスク因子となるが,移植前の摘脾や照射は侵襲性が問題となる。Ruxolitinibは脾腫を非侵襲的に改善するため,移植前まで継続することにより,脾臓の縮小による生着率の向上が期待される。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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